2024年7月22日配信
関 治之
合同会社Georepublic Japan 代表社員
位置情報データ活用のスペシャリストが語る、データの現在と未来
(所属や役職は配信当時の情報となります)
GPSを使って「人々の生活を変える・改善するソリューションを作りたい」
そんな思いから設立されたというGeorepublic Japan。
インフラ管理、自治体、大学、研究機関など幅広い顧客のシステムを開発しています。
Georepublicが注力するソリューションのひとつが「Lobsta」。
スマホなどを使用して、道路の破損状況をシェアできるソリューションで、
様々な場所での活用が期待されています。
会社設立から15年、その間の位置情報に関する社会側の変化や、AI技術の進化の可能性
新型コロナアプリ「COCOA」のプロトタイプ開発の話まで…
位置情報データ活用のスペシャリストならではのお話を聞かせて頂きました。
====
「生活を変える・改善するソリューションを作る」Georepublicの歩み
2009年に設立されたGeorepublicは、位置情報専門のシステム開発会社です。
GISに特化したシステム開発を行い、測量系のインフラ管理、自治体、大学、研究機関など、幅広い分野の顧客にサービスを提供する企業です。
モバイル系のシステムエンジニアの関氏が、GPS技術の可能性に着目。
オープンソースのGISを用いたシステム開発に可能性を見出し、仲間と共にGeorepublicを設立しました。
2006年頃には、位置情報連動広告配信サービスの開発にも携わり、その後iPhoneの登場と位置情報メディアの増加により
ビジネスの可能性が広がりました。
Georepublicが注力するソリューションのひとつが、スマホやタブレットを活用した位置情報サービス「Lobsta」です。
「Lobsta」は、スマホやタブレットを活用した位置情報サービスで、ユーザーが道路の破損状況や設備点検情報などを
写真と位置情報と共にレポートしてシェアできるソリューションです。
会社を設立に至ったターニングポイントはいくつかあるといいますが、そのひとつが、
広告テックではなく「GPSを使ってもっとリアルな人々の生活を変える・改善するソリューションを作りたい」という思いだったといいます。
東日本大震災を経て、さらにその思いは強くなったといいます。
関さんは当時、Georepublicの仕事と並行してシリウステクノロジでにも所属していましたが、
震災で位置情報技術の重要性を痛感し、Georepublicとして完全独立することを決意しました。
関さんが、この15年で感じた変化のひとつが、オープンデータやDXに対して「利用する」社会側の受け入れが進み、その技術を応用する範囲が広がったことだといいます。
例えば、国交省のPLATEAUプロジェクトは開始当初は「用途が分からない」といった意見も多くあったといいますが、
今では被害状況のシミュレーション、計画作りなどで具体的な利用が進んでいます。
それに伴い情報加工技術も進化。顧客に対する提案もスムーズにいくようになったといいます。
また、ドローンなどのデバイスも増えていることや、AI分析など、提案先の裾野の広がました。
位置情報におけるAI技術の進化においては、位置情報サービスの表記揺れ問題の解消や自然言語からのクエリ作成、
大量データの差分抽出などが可能になり、作業の効率化が進んだといます。
監視カメラの画像処理や個人情報のマスク技術も、AIによって実現されており、位置情報技術とAIの相性の良さが発揮されていると感じているといいます。
====
様々な企業とのパートナーシップで課題解決を目指す
関さんは、Code for Japanの活動にも関与しており、政府の新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」プロトタイプ開発にも携わっていました。
開発をする中で、全員がインストールするハードルの高さや、Apple側のAPIの制約、位置情報の技術面での課題を認識しつつ、
行動変容のツールとしての可能性を模索していました。
こうした有事の際に防災機能として活用できるシステムの必要性は感じているものの、それを実現する技術にはまだまだ課題が山積しているといいます。
プロフェッショナルな位置情報技術の専門家集団として、多くの企業や自治体からの相談を受けているGeorepublic。
カスタム地図の作成やGoogle APIでは実現できない機能の提供、オープンストリートマップを活用したサービス提供など、
幅広い要望に応えています。
特に、東京都の案件などで、様々なデータを一つのプラットフォームで表示するダッシュボードの開発が進んでおり、連携したデータ管理の重要性が高まっています。今後も「Lobsta」のような、社会に役立つツールを提供するとともに、
様々なオープンソースのツールとかを組み合わせるなどして、課題を解決していきたいといいます。
そして様々な企業とのパートナーシップを組むことで位置情報技術の可能性を追求を目指します。
関連キーワード:
#GIS #位置情報 #PLATEAU #COCOA