2024年6月24日配信
渡邊満久
principledrive(株) 代表取締役
法律だけじゃない、デジタルテクノロジーのガバナンスとコンプライアンス
(所属や役職は配信当時の情報となります)
2023年に「法律事務所」と「株式会社」の2本柱でスタートしたprincipledrive。
現在は主に株式会社側でデータとAIを代表としたデジタルテクノロジーの社会実装を推進するための事業支援、
ガバナンス体制の構築の支援を行っています。
従来型の「法務」「リーガルチェック」のあり方では、AIの利活用が止まってしまう・・・
そうした思いから提案される「最適なガバナンス」について。
さらには、個人情報保護法改正でAIについても議論される?
そして現行の個人情報保護法において企業側に求められる「魂をふきこむ」作業・・・など
法律の枠組みを超えた“法”についてのお話を聞かせて頂きました。
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従来型ではない“法律相談”でサポートする、デジタルテクノロジーの社会実装
2012年に弁護士登録し法律事務所での勤務を経て、昨年9月に法律事務所と株式会社を設立した渡邊さん。
現在は主に株式会社の方でデータとAIを代表としたデジタルテクノロジーの社会実装を推進するための事業支援、
ガバナンス体制の構築の支援を行っています。
法律事務所ではなく、株式会社で事業を行うのは「従来の相談の仕方を変えたい」という思いです。
法律事務所で行うと、コンプライアンスやリーガルチェックなど、極小化された相談になってしまうため、
株式会社とすることで事業をローンチするために、データの取り扱いやAIの利活用など、
事業組み立てていくためのルールについてサポートしたいという思いがあるといいます。
現在、AIに関する法律はEUの「AI Act」のみとなっていて、カナダでそのような議論があるものの、法制化には至っていません。
アメリカでは、NIST(国立標準技術研究所)がAIリスクマネジメントフレームワーク(AI RMF)を策定し、
AIにおけるリスク管理のガイドラインを提供しています。
OECDも最近AIに関する5原則を改訂しましたが、これは法ではなく日本でいうガイドライン、最近の用語で言う「ソフトロー」です。
一方の日本。これまではソフトローによる対応が主でしたが、最近は法律を制定しようとする動きも見られ、不安定な状況です。
日本もEUのようにAIの法律を作るべきか・・・
邊さんは法律を制定する前に、日本の政策目標、そしてAIの利活用、人々の権利をどう保護についての議論が先にあるべきだといいます。
議論の間は「ソフトロー」いわば実務での「ガイドライン」を駆使し、議論が十分に成熟した段階でハードローを策定することで、
議論が「思考停止」に陥らないようにすべきだと考えています。
こうした中、principledriveではクライアント各社ごとに「AIガバナンスの道しるべ」を提供しています。
すでに存在する事業者向けのガイドラインや事例集を、単純に適応してしまうと、AIの利活用が進まないため、クライアントごとにAI原則を適用。事業展開や各社の中期経営計画なども照らし合わせながら、最適なガバナンスを構築しています。
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AIをめぐる法律は今後どうなる?企業側に求められる、法律に「魂をふきこむ」作業とは
似たものとして捉えられがちですが、渡邊さんは「コンプライアンス」と「ガバナンス」は違うものだと話します。
AIガバナンスとは、AIによる権利侵害や利益侵害そして、AIがもたらす便益、利益の双方を考慮してビジネスの意思決定を行うための枠組みだと考えます。
これはビジネスを成功させるための重要な仕組みであり、法的な遵守という「コンプライアンス」以上に広い視点を必要とします。
2025年の個人情報保護法の改正において、AIについても議論される可能性があります。
こうした状況下で、企業側もただ行政の指示を待つのではなく、企業自らがサービスを提供するための「約束事」を
自分たちで定める必要があります。
現状の個人情報保護法は形式的で、実質的な内容についてはほとんど触れていません。
企業自身が実質的な内容を考え、積極的に取り組んでいく。いわば、企業側が自ら「魂をふきこむ」作業が重要だと話します。
従来型の「法務」では担えない部分が増えている中、今後はCLO(最高法務責任者)のポジションの必要性についても経営者たちに提案していきたいと考えています。
自社のビジョンや社会で成し遂げたいことを実現するためには、従来の法務を超えるアプローチが必要で、
そこを補完するのがCLO(最高法務責任者)のポジションでだといいます。
こうした「ルール」を起点に事業側が取り組むことによって、事業価値、ひいては企業の価値自体も向上できるという取り組みを今後も広めていきたいとしました。
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