2024年3月24日配信 土屋俊博 (一社)スマートシティ社会実装コンソーシアム
事務局/コミュニティマネージャー
スマートシティを『実証』から『実装』へ
2022年に設立されたスマートシティ社会実装コンソーシアムは、160の民間企業や地方自治体から構成される団体であり、より多くのスマートシティ施策の社会実装を推進していく団体です。『スマートシティってそもそも何?』、『スマートシティ化が実現すると、事業者にはどんなメリットがあり、地方自治体にはどんなメリットがあるの?』といった根本的なお話から、実際に補助金を活用した実証実験が、どのように社会実装され、ビジネス化をしていけば良いか、など様々な視点でお話頂きました。人間がより豊かな暮らしを実現するためのスマートシティとは。地方出身であり、内閣府への出向経験もある土屋さん自身の経験も踏まえたお話です。
我々一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアムは、設立から2年が経とうとしています。当初の目標は、スマートシティの社会実装を推進し、実証から実装への道を築くことでした。スマートシティの取り組みは各地域で盛んに行われており、政府も推進していますが、その取り組みを実証実験の段階で終わらせず、持続可能な仕組みとして定着させることが必要です。
当団体に参画している土屋さんは、スマートシティの政策立案に携わった経験を持ち、地域のデジタル化が持続的に進んでいく必要性を感じています。彼のような人材が関わることで、地域の生活が改善されることを目指しています。
では、スマートシティとは何か。政府が定める定義によれば、ICTなどの新しい技術を活用して都市のマネジメントを行い、地域の課題解決や新たな価値の創出を図り、持続可能な地域を実現する取り組みです。しかし、明確な定義はなく、各地域がその課題に対して取り組む姿勢が重要です。
実証実験は多く行われていますが、その成果をビジネス化して継続させることが重要です。施策が収益を生み出さなければ、持続性が保てません。そのため、ビジネスモデルの確立が必要不可欠です。最近ではマイナンバーカードの導入など、既存の仕組みを活用したビジネス化の取り組みも行われています。
スマートシティのビジネス化に向けて、我々はさらなる取り組みを行っていきます。地域の課題解決と共に、ビジネスの発展を促進し、持続可能な未来を築いていくことが私たちの使命です。
「地域別の実証実験とビジネス化の課題」
地域ごとに実証実験が行われ、効率化や誘客などの成果が得られたとしても、ビジネス化までの道のりは簡単ではありません。自治体の人口規模や財源の限界など、さまざまな要因が影響を及ぼします。
実証実験が行われた地域の人口が限られている場合、ビジネス化までの道のりは特に厳しいとされています。投資とリターンのバランスを取ることが難しく、母数が少ない地域に対して投資を行うことはリスクが高いとされています。
しかし、このような課題に対処するために、いくつかのアプローチが考えられます。まず、実証実験で得られた便利な仕組みを他の地域でも採用することで、リスクを分散させることができます。さらに、事業者や自治体が連携し、複数の地域で施策を展開することで、収支を立てやすくなる可能性があります。
一例として、我々一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアムでは、実装したサービスや施策をカタログ化し、他の自治体に紹介しています。複数の自治体が同じ施策を採用することで、事業としての独立性を高め、ビジネス化の可能性を広げることができます。
地域ごとの実証実験からビジネス化までの道のりは複雑であり、様々な課題が待ち構えています。しかし、連携と情報共有を通じて、地域の持続可能な発展を目指す取り組みが行われています。
スマートシティ化における民間事業と自治体の連携について深く探求しました。スマートシティの構築は、単なるビジネスではなく、さまざまな課題の整備や自治体との円滑なコミュニケーションが欠かせないということが明らかになりました。
民間企業がスマートシティのサービスを提供する際には、地域ごとのニーズや課題に応じた柔軟な対応が必要です。また、自治体との協力関係を築きながら、事例を通じて効率的な展開を図ることが重要です。
一方、自治体としてのスマートシティ化の最終目標は、市民の生活満足度の向上や地域の安定性の確保にあります。これらの目標を達成するためには、経済活性化や安全・安心な地域づくりに向けた取り組みが不可欠です。
地域の課題として挙げられた交通手段や医療サービスの不足に対処するためには、民間企業の技術やサービスを活用するだけでなく、自治体との緊密な連携が必要です。さまざまな分野で包括的な取り組みを進めることで、より良い地域社会の実現が期待されます。
最後に、デジタル化が進展する中で、人間らしい豊かな生活を実現することが重要です。デジタル技術を活用しながらも、人間中心の社会を築くためには、バランスの取れたアプローチが求められます。
LBMA JAPANの活動を通じて、位置情報の利活用がスマートシティ化に与える影響が大きいことが示されました。今後も自治体との連携を深めながら、より良い社会実装を目指していくことが重要です。