2025年3月17日配信
木村 智行
株式会社 東京アセットソリューション 企画開発部長 兼 DX推進部長
不動産企画DXに位置情報データ導入が広げる可能性
(所属や役職は配信当時の情報となります)
2009年設立の株式会社東京アセットソリューション。
「人から街、社会、そして未来へ」というビジョンのもと、不動産開発・運営など幅広く事業を展開しています。
不動産業界では、高齢化が進み、デジタル化の遅れが課題となっていますが、
同社では位置情報をはじめとしたデータ活用、AI・クラウド技術の導入などに取り組んでいます。
データを活用した物件調査などを行うことで、不動産企画のあり方自体を変えていきたい、
その先に目指す“新しい不動産企画”についてのお話も伺いました。
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高齢化進む不動産業界 DXで従来のビジネスモデルに変革を
2009年に創業した、株式会社東京アセットソリューション。
総合不動産会社として「人から街、社会、そして未来へ」というビジョンのもと、賃貸マンション、オフィスビル、ホテル、物流施設など
幅広いアセットタイプの開発を手掛けています。
また、不動産の再生やプロパティマネジメント、再生可能エネルギーの発電事業、さらには海外事業にも取り組んでいます。
不動産業界においては、大手財閥系の不動産会社が多くを占める中、東京アセットソリューションでは
創業以来、複雑な権利調整の実績を積み重ねるなどして、再開発のための土地の権利調整を得意としています。
不動産の権利には所有権のほか、賃借権、借地権、区分所有など様々な形態があり、これらを権利者と調整しながら、
使いやすい不動産に仕上げ、その価値を最大化するといった、大手デベロッパーに対して開発用地を提供する重要な役割も担っています。
そして、現在注力しているのが不動産業界のDX推進です。取り組みの背景にあるのは、不動産業界の抱える「課題」です。
不動産業界では就業者の60%を50代以上が占めるなど(総務省の労働力調査より)業界全体が高齢化しているといいます。
これは、不動産業界では長年の経験が重要視されるという業界特有の事情などが要因のひとつとなっていて、
こうした状況が業界全体のDX化の遅れや、情報のデジタル化とアクセスの容易化が難しい要因ともなっています。
一方で、国内の人口減少や建築費の高騰により、市場環境は大きく変化。
需要が減少し、コストが上昇する中、従来のビジネスモデルでは対応しきれない状況が生じ、
それに加えて、若い人材が集まりにくいこともDXの遅れや業界の高齢化を加速させる要因となっています。
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位置情報データの活用で新たな不動産企画を実現 マーケット創出を目指す
東京アセットソリューションでは位置情報をはじめとした
データ活用がこの課題解決につながるとして、変革に取り組んでいます。
不動産開発のプロセスにおいて、物件の価値を最大限に引き出すためには、現地調査が重要な役割を果たしてきました。
周辺環境や建物用途、人の流れなどを体感的に把握し、マーケットデータと照らし合わせながら
ターゲットやコンセプトを決定していくのが従来の手法です。
しかし、現地の体感だけでは定量的なデータとして表現することが難しく、客観的な根拠に基づく意思決定の障壁となっていました。
こうした課題も、位置情報データの活用で解決する可能性があるといいます。
都市部における人流データを分析することで、「どこから来たのか」「どのような属性の人が集まるのか」
「何の目的で訪れているのか」といった情報を定量化でき、より精度の高いペルソナ設計が可能になります。
これにより、不動産開発のコンセプトを客観的に説明しやすくなり、関係者間の合意形成も円滑に進めることができます。
不動産開発は、多くの人々の営みや経済活動、さらには投資効果に大きな影響を与える分野です。
東京アセットソリューションでは、位置情報データを活用することで不動産企画の在り方を変え、
この先にはAIを活用した様々なオルタナティブデータを企画プロセスに統合することで、
これまで人の体感や洞察では見えなかった事実を可視化し、新たな不動産企画を実現する。
不動産開発は単なる建物の建設にとどまらず、新しいマーケットや都市の創出へとつながっていく。
そんなデータを基盤とした不動産企画を推進し、より持続可能で価値のある都市開発を目指しています。
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