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2024年6月3日配信

東海林 正賢

一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会 代表理事

資産運用を進化させる、オルタナティブデータ活用とは

(所属や役職は配信当時の情報となります)

トラディショナルデータの対義語として生まれた『オルタナティブデータ』は、

資産運用、フィンテックなどの領域において、一般的な指数に新たなデータを組み合わせる・掛け合わせることで、

一歩踏み込んだ資産運用のための情報を作っていきます。

オルタナティブデータ推進協議会では、いかにそれが実現されているのか、

資産運用立国宣言、新NISA導入を契機に、アクティブ運用力が求められている現在におけるデータ活用の指針作りを推進しています。

海外投資家からも注目を集める日本のオルタナティブデータや、

生成AIでの活用など、業界団体としての視点でわかりやすくお話し頂きました。

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資産運用の新たな情報「オルタナティブデータ」って?その可能性とは。

約3年前に設立されたオルタナティブデータ推進協議会。

日本でのオルタナティブデータ活用の課題認識から始まり、現在は大学、金融機関、データプロバイダーなど120社が会員として参加し、多様な活動を展開しています。

参加会員のパターンは二つあるといいます。フィンテック部署としてデータに注力したデジタル戦略や新規事業の観点から参加しているケースと、資産運用部門として参加しているケースです。

「オルタナティブ」には「何かの代わり」という意味がありますが、オルタナティブデータは「何かの代わり」となるデータではありません。

株や資産運用の判断のために、昔から使われてきた株価情報や企業の業績情報などのトラディショナルデータの対義語となるもので、

その中には衛星画像や特許情報、ニュースや新聞の記事のテキストデータ、人流情報や位置情報データなどが含まれます。

こうしたオルタナティブデータを分析することで、企業の業績をより正確に予測し、株式投資の判断材料とすることができます。

また、他社とのデータの差別にも繋がります。

オルタナティブデータを活用した株式投資の判断は、海外では一般的なものとなっていて、日本でも一部の企業がこのデータの活用を始めています。

オルタナティブデータはコロナ禍でより存在感を強めたといいます。

現地に直接確認に行くことが難しくなり、データで様々な情報を見ることが浸透しました。また、コロナ禍で人流データを元に「人出の増減」のニュースが報じられたことなどからも、データの価値が広く認識されました。

そしてコロナが明けた今でも、データを活用する動きは依然継続されているといいます。

 

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「資産運用立国」宣言でさらに注目!オルタナティブデータの現在地と未来。

昨年10月、日本政府は「資産運用立国」を宣言し、岸田総理が発信して以降、各社は運用能力向上のためにオルタナティブデータの活用を含む組織作りや施策を推進しています。

こうした中、運用業界各社も運用能力向上のためにオルタナティブデータの活用を含む組織作りや施策を推進していて、その取り組みは、金融庁にもモニタリングされているといいます。

こうした状況からも、今後も運用業界はオルタナティブデータを活用してアクティブ運用に力を入れていく流れが予想されます。

また新NISAによって新しく投資を始める人が増え、投資の流れが形成されています。

一方で、各社が指数に基づいた運用やETFだけでは差別化が難しく、アクティブ運用力が問われる中で、各社が独自の指数を作成するためにもオルタナティブデータが有効であると考えられています。

 

オルタナティブデータ推進協議会設立から3年。

今後はこうした大きな国の動きに合わせて、オルタナティブデータの普及活動を進めていきますが、それに加えて注目しているのが、近年顕著になっている「海外の投資家」の動きです。

日本市場は日経平均の上昇や為替のボラティリティの高さから海外から注目されており、特に去年(2023年)の後半からは海外の資産運用会社やファンドからの問い合わせが増えているといいます。

こうした状況下でデータを活用した分析はさらに重要性を増すとみられ、今後はグローバルな展開も視野に入れて協議会を発展させていきたいと考えています。

関連キーワード:

#オルタナティブデータ #データ分析 #資産運用 #フィンテック #新NISA #資産運用立国

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