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2023年5月29日配信

小尾 一介

クロスロケーションズ(株)代表取締役

常に日本におけるネットサービスの「ど真ん中」を歩いてきた小尾氏

ベンチャー企業としてX-Locationsで打つ、次の一手ITとは

(所属や役職は配信当時の情報となります)

音楽業界でキャリアをスタートさせ、その後デジタルガレージの取締役としてカカクコム、Twitterの日本市場立ち上げ、

Google Japanでの事業推進など、まさに2000年代、2010年代のネットサービスを作ってきた一人である小尾氏。

その豊富な経験と視点から、次のパラダイム・シフトを位置情報データを活用したビジネスに見出しクロスロケーションズを設立。

次の時代をどのように創っていくのか、その想いを語って頂きました。

 

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音楽業界からネットサービスへ

小尾氏のキャリアはレコード会社から始まりました。アルファレコードにアルバイトとして入ったのがきっかけです。

この会社は1980年頃に村井邦彦さんが設立した音楽ベンチャー企業で、当時は非常に影響力がありました。

最初の担当は、イエローマジックオーケストラ(YMO)でした。

コンピューターやシンセサイザーを駆使した新しい音楽だったため、当初日本ではY広く理解されていませんでしたが、A&Mレコードのプロデューサーがその魅力を認め、アメリカ公演を行ったことなどから、日本でもテクノブームを引き起こし、デジタル音楽の先駆けとなりました。

その後、コンピューターグラフィックスやコンピューターゲームなど、デジタル文化が発展していきました。

まだインターネットが普及する前でしたが、デジタル音楽や映像、動画を収めたCD-ROMソフトを作成し、プレイステーションなどのゲームも手掛けました。

そうした中、インターネットの登場で状況は一変します。デジタルコンテンツがネットで配信される時代が到来しました。

その時期にデジタルガレージの創業者(林郁氏、 伊藤穰一氏)から誘われて、会社に参加することになりました。

ベンチャーブームの中で、技術に詳しく、経営経験もあるスキルが役立つと期待されてのことでした。

デジタルガレージの取締役として、小尾氏は新しいインターネット企業の立ち上げを担当。その一環で、カカクコムに関わりました。

 

当時は、浅草橋にあった社員数10人の小さな会社でしたが、秋葉原の情報やユーザーの利用情報を集めて、カカクコムは急成長しました。

そうした中、日本でも利用者が増えていたツイッターに デジタルガレージの創業者の伊藤氏が着目したことから、サンフランシスコの本社に掛け合い、日本でのマーケティング契約を取り付け、ツイッタープロモーションサイトを立ち上げて広告媒体としても活用しました。

その後、カカクコムはさらに成長し2009年頃には、カカクコムの株式を一部売却、事業を育成して売却するというインキュベーターの役割を果たしました。

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Google、InMobi・・・様々な経験を経て取り組むクロスロケーションズの「位置情報ビジネス」とは

ここでひと段落・・・といかないのが小尾氏です。

当時社員約300人のベンチャー企業だった、Googleから声がかかり、Yahoo! Japanに追いつき追い越せ・・・!という使命のもと、Googleに入社。事業開発・ビジネスデベロップメントを担当しGoogleの躍進に寄与しました。

手がけた事業の一例としては、BIGLOBEにGoogleの広告検索エンジンを提供し、収益を分け合うモデルや、ゼンリンの地図コンテンツを利用してGoogleマップを日本市場向けに最適化することなどです。

そして最大のプロジェクトの一つは、2010年にYahoo! JapanにGoogleの検索エンジンを提供するものでした。孫正義氏との直接交渉を経てこのパートナーシップが実現。プロジェクトは秘密裏に1年間進められ、公正取引委員会の承認を得て発表されました。小尾氏はこの交渉のフロント部分を担当しました。

その後もアンドロイドが日本で導入された際に、ドコモやKDDIとGooglの調整役などを担当しましたが2012年、また新たな挑戦をはじめます。

 

インド発のスマートフォン広告会社InMobiの日本事業責任となります。この時に初めて取り組んだのが「モバイルの位置情報広告」です。

スマートフォンの緯度経度に基づいて広告を配信するというもので、これが位置情報ビジネスへの関心をさらに深めるきっかけとなりました。

 

InMobiで2年経験をした後、シリコンバレーのベンチャーキャピタル、コースラベンチャーズに移りました。

コースラベンチャーズはフィンテックへの投資で成功を収めた企業で、特にスクエアなどの成功事例があります。

2015年から2016年頃、シリコンバレーが日本でも注目を集め、日本企業もシリコンバレーの企業に投資したいという動きがありました。コースラベンチャーズから依頼を受けて、日本の投資家を紹介する役割を果たしました。

 

コースラベンチャーズを通じてニア・インテリジェンスとつながり、日本での事業展開を支援することになりました。

当時の日本代表は現在クロスロケーションズのCOOを務める猪谷氏で、主に位置情報広告を手がけていました。

そうした中で、位置情報データが他の用途にも利用できる可能性を感じ、さらなる活用を模索するようになりました。

ニア・インテリジェンスと共にクロスロケーションズを設立した際、広告事業だけでなく、位置情報データの分析システムにも注力することにしました。

コロナ禍で街や店舗が閉鎖され、広告市場が縮小する中で、広告事業は困難な状況に直面しましたが、その一方で、位置情報データの分析システムは徐々に成長しました。

クロスロケーションズはSaaSモデルを採用し、ユーザーに使いやすいツールを提供することに注力。

この新しいデータと仕組みを活用し、さらに成長していくことを目指して活動を続けています。

投資家の後押しもあり、コロナ禍でも会社を維持することができ、そしてコロナ後の現在、状況は大きく変わり、人流データの重要性が増していることを感じるといいます。

「人流」という言葉が市民権を得た今だからこそ、「位置情報」は多くの業種からの問い合わせを受けるほどの重要なデータとして認識され、クロスロケーションズにも、あらゆる業種からの問い合わせが増えているといいます。

 

様々な功績を残しながらも、今も挑戦し続ける小尾氏。

そのモチベーションの根底にあるのは「どうすれば皆が使えるものを作れるのか」というアイデアへだといいます。

その時々で、インターネット内のデータの歴史は新しいものが登場してきましたが、これを一般化するのはどうしたらいいか。

そのアイデアを実現し、お金を稼ぎつつ、人々に喜んでもらえるものを提供する。その理想を追い求めてきた結果がこれまでの功績だといいます。

 

そして小尾氏が次の一手として、着目しているのが生成AIです。

クロスロケーションズでも、位置情報データも活用できる可能性があるとして、生成AIの技術に取り組んでいます。

コロナが終わった今、昔とは異なる社会の変化があります。リモートワークやオンラインでのビジネスが普及し、その位置づけも変わってきています。

特に位置情報は、オンラインとオフラインの世界をつなぐ重要な役割を果たします。

スマートフォンを持ってリアルの場所に行くことで位置情報が取得され、それを利用して広告を配信したり、実店舗のマーケティング戦略に活用したりすることが可能です。

位置情報は今後も大きなポテンシャルを秘めており、ビジネスの革新や競争力の向上に寄与するでしょう。

その可能性は未来のブルーオーシャンを切り開くうえで重要な要素です。人流アナリティクスなどの位置情報データを活用したサービスは、オンラインで利用者が登録してさまざまな活動を行えるようにすることで、さらに普及を目指しています。

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