2024年8月19日配信
田中 準二
矢崎総業株式会社
モビリティ事業本部 モビリティ事業企画統括部
計装商品企画部 データ商品企画チーム
商用車プローブデータが広げる可能性
(所属や役職は配信当時の情報となります)
世界を含め約24万人の従業員を擁する矢崎総業株式会社。
矢崎総業が提供する「商用車プローブデータ」は、商用車のデジタルタコグラフの運行データを活用したもので
多くは建設コンサルタントの道路交通調査などに活用されているといいます。
さらには、国内トップシェアを誇るタクシーメーターを活用したデータ事業の展開
カメラ搭載のデジタコを活用した今後の展開
自動運転の活用可能性などについてのお話も伺いました。
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グローバル企業が展開する「商用車プローブデータ」とは
矢崎総業株式会社は、1941年に設立され、世界を含め約24万人の従業員を擁するグローバル企業です。
日本国内では約18,000人の従業員が主に静岡県の工場で働いていますが、海外に目を向けると特に北中米地域で約9万人が勤務しており
世界各地で事業を展開しています。
メインの事業は自動車用ワイヤーハーネス(電線システム)の製造、さらに自動車のメーターやデジタルタコグラフ(運行記録装置)
業界トップシェアを誇るタクシーメーターなどで、製品は多くの自動車メーカーに供給され、業界で重要な役割を果たしています。
そして、現在ではデジタルタコグラフから取得される「商用車プローブデータ」を活用した事業を展開しています。
デジタルタコグラフが日本に導入されたのは、1962年の高度成長期のこと。
トラックが高速度で走行することによる事故が多発していたことを受け、安全運転を促進するために
ドイツのキンツレー社からデジタルタコグラフの技術が導入されました。
この装置は、速度、距離、時間の3つの法定3要素を正確に記録することで、事故防止と安全運転を促す役割を果たしています。
現在、デジタルタコグラフは主にトラックやバス、政令指定都市のタクシーに搭載されており
安全運行のための重要な装置として広く使用されています。
デジタルタコグラフは、アナログとデジタルの2種類あります。
初期のアナログ型では、丸いチャート紙に速度、エンジン回転、時間を記録していましたが、1999年にデジタル化が進みました。
当初は大きなカードを挿入してデータを収集。
その後、技術の進化に伴いCFカード、SDカードが使用されるようになり、約10年前には通信型のデジタルタコグラフも登場しました。
現在もアナログ型のチャート紙は使用されていますが、デジタル化が進む中、より高度なデータ管理が可能になっています。
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タクシー、カメラ搭載のデジタコ・・・強みをいかしデータに更なる厚みを!
デジタルタコグラフは、法律により最大積載量が4トン以上の車両に義務付けられていて
今年4月には貸切バスに対してもデジタルタコグラフの装着が義務化されました。
さらに、運行記録は数年間保存することも法律で定められており、安全管理のための重要な要素となっています。
こうした膨大なデータに着目したのは、約10年前のことだったといいます。
「ビッグデータ」という言葉が広まり、矢崎総業でも何か活用できるデータはないか・・・と探していたところ
通信型のデジタルタコグラフを通じて大量の運行データがサーバーに蓄積されていることが判明。
これを有効活用できないかと3年前「商用車プローブデータ」の販売を開始しました。
主な顧客は、建設コンサルタント会社だといいます。地方自治体や行政機関に提案を行う際
新しい道路やバイパスができた際の交通流の変化や、交通安全施策の前後の速度変化などを分析するためなどに活用されているといいます。
現在、タクシーの運行データも収集し始めたところで、今後このデータの活用にも期待がかかります。
今後の展望として、商用車プローブデータのデータ量をさらに増やすことが目標としています。
通信型の運行記録計が普及することでデータ量が拡大し、災害時の対応力が弱点とされている部分は、タクシーのデータで補完する計画です。
また、新しいデジタルタコグラフにはカメラが搭載されており、車間距離や路面速度の読み取りといった新たな機能が追加されています。
これにより、他にないデータ項目を増やし、提供価値を高めていきます。
さらに、問い合わせが多いという車格情報(トラックのサイズ)に関するデータのシステム化も進めていて、
より独自の詳細な情報提供を目指しています。
自動運転化が進む社会では、このプローブデータがますます重要になる可能性を秘めており、さらなる成長が期待されています。
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